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9月入学」が議論になると、必ず出てくるのが季節感の問題だ。昨年、改革論が急浮上したときも、反対意見のなかに「入学式は桜の下で」と唱える声が目立った。別に日本古来の伝統というわけではないのだが、桜の舞う風景は新学期の記憶と強く結びついている。

もっとも、こうしたイメージは近年の実情とずいぶんズレてきた。東京などではソメイヨシノの開花が3月中旬、満開は春分の日あたりというパターンが珍しくない。現に今年もあちこちで花の盛りを過ぎ、枝先には葉っぱがのぞいている。小中学校の入学式のころには、少なからぬ地域で散り果ててしまうかもしれない。

気象庁が519日から使う「新平年値」を見ても、変化は明らかだ。現行の平年値は19812010年の平均だが、10年ごとの更新で9120年を対象にするという。年平均気温はいまより0.10.5度高くなり、桜も早咲きが進む。流れが加速すれば、この基準を使ってもなお平年を上回る記録が続出するだろう。

温暖化ガスの増加を食い止めようと脱炭素への動きが活発だが、さて行政や企業の、そして暮らしのなかの具体策をどうするか。9月入学みたいにかけ声倒れでは困る。そういえば新しい平年値では9月も暑さが増し、雨量が多くなった。入学時期は爽やかな秋のほうがいいという主張もまた、遠い昔の心象と化している。

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