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世界で最初の経済バブルは、17世紀半ばにオランダで起きた。チューリップバブルである。合理的で無駄づかいを嫌うお国柄で知られる人々が、植物の球根に狂乱した。先物取引も登場、たった1個に邸宅が買えるほどの値段がついたというから、なんともすさまじい。

特に人気だったのが花びらに赤、白、紫など色鮮やかな縞(しま)模様が出るタイプ。世に二つとない美しい柄が珍重された。実はアブラムシが媒介する植物ウイルスによる病だったが、当時は知る由もない。「人々が競って買い求め、いたるところにウイルスに感染した植物を広めた」と山内一也著「ウイルスの意味論」にある。

最古の経済バブルにはウイルスが大きくかかわっていたわけだ。しかもこの植物ウイルスの遺伝子はRNA型。新型コロナと同じで、ころころと変異する。変わり身の速さで生き残る戦法は無敵である。一方、RNAよりはるかに安定したDNA型を持つ人間は、簡単に変われない。故にいつでもウイルスに振り回される。

各地でコロナの感染再拡大が懸念されるなか株価は30年ぶりの高値水準で、家計の金融資産も過去最高と聞く。経済への打撃が心配されてきたのに何とも不思議なアンバランスだ。バブルという言葉が、またぞろ巷(ちまた)でささやかれ始める。市場が過熱気味なのはまたしてもウイルスに人間社会が踊らされている証しだろうか。

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